長崎にある聖母の騎士修道院に隣接して、司祭、修道士を目指す中高生を養成する聖コルベ志願院が建っています。 今回はそこに長年携わった修道士さんのお話です。
小神学生と生活を共にしていると、ふとした時に成長を感じることがあるそうですが、それを身体的な点で一番感じたのはミサの中で司祭が御聖体を奉持する時だったそうです。
小神学校に入ったばかりの中学一年生の小神学生の頭の上には、司祭が奉持する御聖体が高々と上っていたそうですが、時を経るとともに、御聖体が小神学生の頭頂にかかるようになり、やがて夕日のように彼の頭頂に沈んでいったそうです。
司祭の奉持する御聖体、小神学生の頭、修道士さんの視点が毎日のミサの中でほぼ位置が変わらないので、必然的に定点観測をすることになったのです。
そしてある日、その頭がぱっと無くなった時、小神学生が巣立って行ったことの実感と感慨が胸に去来したそうです。
聖母の騎士 2025年3月号より掲載